第382回:「担保価値はゼロ」

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第382回:「担保価値はゼロ」

2012年10月15日

(新工場の建設資金を融資してもらおうと、メーンバンクへ相談をもちかけたAさんは、そこで意外なことを言われ、少なからず腹を立てた。それは何か)

──銀行から融資を受けるには、当然ながら担保が必要です。私はその担保を十分持っていました。先ほども言いましたように、私は東京の本郷生まれです。たまたま母の故郷である東京近県に疎開し、そこに住みついただけです。ですから東京にかなりの土地(両親名義)を所有していました。それは担保に十分見合うものでした。


 ところが、メーンバンクの貸付担当は「いくら東京に土地があっても、そんなものは担保になりません。われわれが自転車で見に行けるところにある土地でなければ、担保価値はゼロです」と言うではありませんか。私は驚きました。そして腹が立ちました。同じ面積でも当地と東京は、土地の値段が何十倍も違います。それがどうして担保価値ゼロなのでしょうか。納得がいきません。といって新工場の建設を諦めるわけにもいきません。

 私は両親を説得し、東京の土地を売り、その金で地元に土地を購入することにしました。そして東京本郷の土地70坪、調布の土地100坪、府中の土地118坪の合わせて288坪をすべて売り、地元の都市計画工業地域内の畑地を二町歩(6000坪)買いました。畑地ですから、母が農業をやることと、向こう5年間は転売しないことを誓約し、県知事に提出しました。その畑へ毎年、近くの牧畜農家に頼んでクローバーの種を蒔いてもらい、収穫してもらい、その収支報告書を県に提出しました。

 (こうしてAさんは地元に土地を集約し、銀行の目に見える形で担保を確保した)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役 野口 誠一
電話番号:03-3835-9510(倒産110番) 
HP: http://yaoki.html.xdomain.jp/ 

野口 誠一 昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。

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