物流ウィークリーヘッドライン
八起会の活動は、対外的には「倒産110番」による経営相談、対内的には会員の再起を目指した勉強会、その2本立てである。私は後者を「再起道場」と呼んでいるが、この30年余り、月に一度の勉強会を欠かしたことはない。勉強の内容は、その時々の経済、経営問題をテーマに取り上げ、会員同士でディベイトやディスカッションしたり、ときには各界の識者や評論家に講演してもらったりと多岐にわたるが、定期的に欠かせないのが、会員による倒産の体験発表である。
失敗に財あり。倒産は経営上のヒントの宝庫と言っていい。そのヒントをすべての会員が共有し、再起後の経営に役立てようというのが体験発表の趣旨である。今回から、その発表事例のいくつかを紹介しながら、生き残り、勝ち残っていく経営のヒントを考えてみたい。まずはNさんの事例である。
Nさんは昭和63年、35歳の若さで祖父、父と2代続いた水産会社を引き継いだ。が、それは兄と弟がバクチと商品取引でつくった9億円もの借金を引き継ぐことでもあった。Nさんの会社は神戸市内でも有数の老舗で、年商10億円と地元ではかなりの中堅優良企業だった。
しかし、いかに優良でも9億円もの借金は重すぎる。Nさんは経費削減、リストラと懸命に踏ん張るが、バブルがはじけたうえに阪神大震災が重なったこともあって、借金は増える一方。思いあまって自殺をはかるが失敗し、ついに平成9年、9年間の経営に終止符を打つ。そのときのNさんの借金は23億円に膨れ上がっていた。ほとんど街金融からの借金だった。
Nさんの壮絶な倒産体験とその後の悲劇は、父親の交通事故による急死から始まるが、次回からNさんの体験発表に耳を傾けてみよう。