物流ウィークリーヘッドライン
私の放蕩は際限もなくエスカレートしていった。「呑む」「打つ」「買う」に「芸事狂い」と忙しく、いつしかゴルフ場へも通えなくなった。会社へ顔を出すのは遊びの金を調達するときだけだった。そして、「会社にへばりついているような経営者は伸びない...」と勝手な理屈をこね、会社の金を鷲づかみにしてはまた放蕩、その繰り返しだった。
そんな放蕩経営、乱脈経営にもかかわらず、会社の業績はいたって順調。私の放蕩などどこ吹く風とばかりに、儲かって儲かって仕方ない。なにしろイヌ、ネコ、クマなどの単純なぬいぐるみでも、つくる片っ端からアメリカ市場が丸呑みにしてくれるのだから、ただひたすら作ればいいだけのこと。当時は貿易摩擦などあろうはずもなく、「強いアメリカ」が「弱い日本」に輸入の手を差しのべ、あらゆるメイド・イン・ジャパンを受け入れてくれたのである。
要するに、私の事業など誰がやっても儲かったのである。しかし、私はそれを自分の才覚、経営手腕と信じて疑わなかった。遊び惚けている者は本当の自信がないだけに、どうしてもその穴を「過信」で埋めようとする。私もそうした1人だった。過信の怖いところは、それが「高慢」の温床になりやすいことである。経営者が、この高慢というガンにとりつかれたら、まず倒産は免れない。
だいぶ前のことになるが、八起会会員(500人)に「あなたの倒産の原因は何か」というアンケート調査を行ったことがある。その結果は「倒産の原因ワースト10」として公表しているが、その第1位は「経営者の高慢・経営能力の過信」だった。
このアンケートの結果からも、高慢や過信がいかに倒産へ直結するか明らかであろう。私は30代半ばで、この高慢・過信にとりつかれてしまったのである。