物流ウィークリーヘッドライン
その本は野口会長の著書でした。そこには経営の失敗例がたくさん書かれてあり、そのすべてが主人に当てはまることばかりでした。私は即座に、この人に会いに行こうと心に決めました。会って何かいいことがあるだろうなどとは考えもしませんでした。ただ、この人に会って話を聞いてもらいたい、その一心でした。イヤがる主人を説得し、会長のもとに伺いました。そしていままでのこと、これからのこと、心配や不安を思いのたけ話しました。会長は最後まで私の話を聞いてくださり、こう言ってくださいました。
「倒産は経営上の失敗であって、人生の失敗じゃありません。夫婦二人で頑張れば、必ず再起できます」
この一言に、私たちは目から鱗が落ちるような衝撃を受けました。そして夜逃げしてきて住む当てもない私たちに、不動産業を営む八起会の会員の方にアパートを世話していただき、会長には保証人にもなっていただきました。なんと、ほんの2、3時間前に出会ったばかりの、夜逃げしてきた私たちのために......です。正直、驚きました。主人も当時は人間不信に陥っていましたから、「世の中にこんな人がいるなんて」と驚きを隠せませんでした。
こうしてなんとか住む場所を確保でき、次は職さがしですが、そこも会長が会員の方が営むお店を紹介してくださいました。それも、夫婦二人で働ける場所をです。会長には、感謝という言葉に盛れないほどお世話になりました。その後、私たちはいくつか職を替えながら、再起へ向かって頑張りました。でも、私と主人の間には、「再起」に大きなへだたりがありました。主人はまた事業を始めることが、社長に返り咲くことが、再起だと思っていたようです。私たちの間にミゾができていきます。