八起会・倒産110番

第272回:経営を戒める「5か条」

 倒産を経験して、私の経営理念はすっかり変わりました。目下、経営は順調ですが、それでも息子たちにいつも言っている5カ条があります。

一、二度と借金はしない。絶対に赤字を出さない。絶対に利益の出る経営に徹する。赤字で運転資金が必要になったら、すぐに会社をたたむ。
二、絶対に約束手形を発行しない。支払いは回し手形で行う。仕入先に支払う金が足りなくなったら、頭を下げて待ってもらうか、仕入れるときにあらかじめ、支払いが遅れたときの交渉をしておく。
三、経済環境の変化により、事業の縮小、リストラが必要になったら、即実行する。
四、設備投資は自己資金をためてから行う。できるだけ償却資産をなくす。
五、役員報酬は必要最低限とし、上手に内部留保を高め、力をつける。

 以上の五点を息子たちに強調しています。銀行は本当に苦しいときに助けてくれません。よく、経営者は上手に銀行とつき合わなければならないと言いますが、私はそうは思いません。会社の経営がよくなれば、黙っていても銀行のほうから足を向けてきます。銀行に頼らなくてもいい経営に徹しなければならないと思います。

 ここまでくるのに、多くの方々に迷惑をかけました。今日、ここでお話しをする原稿を書きながら、辛い、思い出したくない過去を昨日のように思い出しました。それと同時に、15年前のあの辛い体験を忘れかけていることにも気付きました。2度と繰り返してはならないと、再度自分に言い聞かせる機会ともなりました。

 最後になりますが、私は野口会長と八起会のおかげで倒産を乗り越えることができました。本当にありがとうございました。

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
野口 誠一

【野口 誠一氏プロフィール】

昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。

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