八起会・倒産110番

第261回:国破れて山河なし

 八起会発足から30年、日本経済の変化はすさまじかった。激変と言っても過言ではない。何度も円高に見舞われ、そのたびに不況を余儀なくされた。

 プラザ合意後のバブル膨張は筆舌に尽くしがたい。金余りから地価・株価が青天井で狂騰し、列島の隅々まで乱開発が及んだ。国が破れても残った山河が、繁栄とともに失われたことは皮肉としか言いようがない。

 しかし、日本が「世界に冠たる経済大国」「21世紀は日本の世紀」と浮かれたとたん、バブルがはじけた。そして惨憺たる経済危機がやってきた。深刻な長期不況に未曾有のデフレが重なり、100兆円の経済対策を講じても景気は上向かず、いたずらに「失われた十年」が流れた。

 その間、企業は30分足らずの間に1社ずつ潰れ、年間倒産件数2万、失業率は戦後最悪の5.5%を記録した。

 その後、13兆円もの公的資金を注入された銀行は息を吹き返し、リストラにリストラを重ねた企業も製造業、輸出関連を中心に息を吹き返した。が、失われた十年のキズはあまりに深く、いまだにその後遺症から脱しきれていない。

 それがGDP(国内総生産)の150%にも達する国の借金であり、就職氷河期とリストラによってはじき出されたフリーター、ワーキングプア、ネットカフェ難民の存在である。いまや日本は先進国のなかで最大の借金国であり、格差社会である。

 こうした日本経済の激変は、私たちのボランティア活動にも大きく影響を及ぼした。八起会の30年は日本経済の裏面史でもある。

 そして、いま日本は米国発の金融危機、原油・資源高、穀物・食料高の三重苦のなかにあり、また低迷、下降局面を迎えつつある。自殺者数もこの10年、年間3万人の大台に張り付いたまま動かない。八起会の自然消滅は、まだまだ遠いといえよう。

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
野口 誠一

【野口 誠一氏プロフィール】

昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。

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