物流ウィークリーヘッドライン
Mさんの業績は順調に推移していく。といっても、しょせんは画商である。通常の会社経営のように、突然新商品がヒットしてウハウハ儲かるなどということはない。
絵画ブームが来たり去ったりはするが、おしなべて地味なビジネスと言っていい。それでも地道に10年も経営し続ければ、それなりに信用もつき、業績も安定していく。
平成5年、Mさんは会社組織を美術、印刷、商事の3部門に分けた。そこまで成長したということである。さらに5年後の平成10年、その3部門を独立させ、別会社にした。Mさんは美術と印刷会社の社長を兼ね、商事会社の経営は奥さんに任せた。
その頃が公私ともにMさんの絶頂期であったかもしれない。長男と長女が相次いで良縁に恵まれ、平成14年には古くなった自宅を建て替えた。Mさんは人生最良の日々のなかにあったと言っていい。が、好事魔多し。なんと、新築したばかりの自宅がMさんの人生を暗転させていく。
Mさんは画家や画商仲間、得意先などから預かった作品を在庫として、会社のほか自宅にもかなり保管していた。それが、平成15年秋のある日、久しぶりに自宅へ帰ってみると、家中が水びたしになっていて、保管しておいた作品もことごとく水びたし状態になっていた。2階のトイレの水道管が破裂していたのである。
作品は台なし、まるで売り物にならない。Mさんはその場にへたりこむしかなかった。
その頃、Mさんは通勤が面倒で、週に1、2回しか自宅に帰らなかった。商事会社の社長をしている奥さんといっしょに、会社や近くのホテルに泊まり込む日々が多かった。要するに、自宅はいつも留守がちで、水のたれ流し状態は1週間近くも続いていたのである。万事休すである。