物流ウィークリーヘッドライン
電話から洩れる奥さんの悲痛な訴えに、Nさんはあわてて薬局へ向かう。が、手形を振り出している以上、どうにもならない。
Nさんは有り金をかき集め、薬局の在庫を現金問屋に捨て値で売り払い、300万円をつくるしかなかった。その場はそれで収まったが、裏書きした手形が山ほどある。それがどうなっているか、まるで見当もつかない。
そして恐るべき事態がやってきた。裏書きした手形を持って、金融ブローカーが次々に押しかけてきたのである。
こうなっては、もはや経営どころではない。連日取り立てにくる裏書き手形を落とすために、Nさんは寝食を忘れて金策に駆けずりまわる。親戚はもとより友人、知人から借りまくり、それでも足りずサラ金を渡り歩き、それでも足りず、ついに禁じ手を余儀なくされた。
問屋やメーカーから大量に薬を仕入れ、それを現金問屋に超安値で売り捌き、金をつくるしかなかったのである。
こうしてもがきにもがき、ようやく手形処理を終わってみれば、Nさんは借金の山に取り残されていた。裏書きの総額は1400万円。が、息をつく暇はない。サラ金の返済は毎月やってくる。問屋やメーカーの支払いも待ったなしである。が、ない袖は振りようもない。この進退きわまったところで、Nさんは八起会へ相談に見えた。
私は顧問の公認会計士に精査してもらったが、Nさんの経営は借金が大きすぎて、どうこうなる段階はとっくにすぎていた。それに、世はデフレのまっただなか、先の見通しも立たない。残念ながらNさんには破産の道しか残されていなかった。
Nさんも納得したところで、八起会の顧問弁護士が会社整理に着手し、Nさんは破産を余儀なくされた。負債総額1億9000万円。Nさんはすべての財産を失った。