物流ウィークリーヘッドライン
やがてバブルがはじけた。地価・株価が底なしに下がっていく。景気は冷え込み、中小企業がバタバタ潰れていく。Nさんの医薬品販売も例外であるはずはなく、じりじりと売り上げが落ちていく。
そうなると、自宅と薬局を合わせた7000万円のローンが重くのしかかる。銀行に付き合ったばっかりに...とグチも出るが、いまさらどうにもならない。
そんなところへ突然、Aが訪ねてきた。Aは勤めていた病院を3年前に辞め、いまは診療所を開いているという。その間は没交渉になっていたが、Aが「自分のところの余った薬を引き受けてくれないか」という。
大恩あるAの頼みとあれば、断るわけにいかない。Nさんは二つ返事で引き受け、販売にまわした。それを機に、Aがちょくちょくやってきては「この手形を割り引いてくれないか」などと頼むようになったが、Nさんはそのたびに割ったり裏書きしたりと協力していく。その手形は期日までにきちんと落ちていた。NさんがAを信用したことは言うまでもない。
そして1年ばかり経ったある日、Aが来て「営業上の見せ金が要るんだ。手形を振り出してくれないか」という。Aを信用しきっていたNさんは、奥さんの名義で300万円の手形を切った。むろん奥さんには内緒である。
が、こともあろうに、その手形が不渡りとなった。Nさんはただちに電話を入れたが、Aは出ない。診療所へ行ったらシャッターが下りている。Aのマンションはもぬけの殻。その日からAはプッツリと消息を絶った。
2日後、金融ブローカーの男たちが4人、奥さんの薬局に押しかけ、「300万円出せ」とすごむ。事情を知らない奥さんは仰天して警察に助けを求めるが、警察は「民事不介入」を理由に見て見ぬふり。いよいよ転落の始まりである。