物流ウィークリーヘッドライン
役所を装ったり警察と名乗ったりと、あの手この手で人をだまし、金を巻き上げていくのが詐欺師の本職だから、要はだまされないようにするしかない。
中小企業の経営者がひっかかりやすいのは手形詐欺である。自分に限ってだまされるはずはない、と信じ込んでいる経営者ほどひっかかりやすい。なぜなら、詐欺師は人なつっこい微笑をたたえ、「信用」という入り口から入ってくるからである。八起会の会員のなかにも、この手形詐欺にあって倒産を余儀なくされた経営者は少なくない。今回からそうした例を紹介しよう。
Nさんは昭和53年、薬科大学を卒業し、薬剤師試験にも合格し、大手製薬会社に就職した。担当は訪問販売員、いわゆるプロパーで病院や診療所に医薬品を宣伝販売する仕事である。この駆け出しの頃、ある病院のレントゲン技師だったAと知り合うが、これが後々、Nさんの人生を狂わせていく。
入社して5年、Nさんは仕事にも慣れ、プロパーが面白くなりかけたところへ突然、地方転勤を命じられた。悩み迷ったが、どうしても地方へ行く気になれず、やむなく会社を辞めた。その後、外資系の製薬会社に入社し、3年余り勤めたが、やはり外資の水が合わず、思いきって脱サラし、医薬品販売会社を立ち上げた。昭和61年のことである。
自信も成算もあるわけではなかったが、若さだけはたっぷりあった。まずはサラリーマン時代に開拓した中小の病院や開業医をまわり、細々とスタートした。案の定、初年度の利益はサラリーマン時代の年収の半分にも届かなかった。それが翌年度、Aの協力によって売り上げが一気に5倍増と膨らみ、大化けに化けた。