物流ウィークリーヘッドライン
立つ鳥あとを濁さずという。経営も同じである。事業に不運や失敗はつきものだが、問われるのはその後始末である。
同じ倒産でも、誠実に後始末をした者と、Dさんのように夜逃げした者では、その後の人生がまるで違ってくる。わが会員のなかでも、後始末組の再起は比較的早いが、夜逃げ組は再起そのものが難しい。
さて、Dさんである。いったん夜逃げはしたものの、私の説得を受け入れて奥さんのところへ戻り、200万円を持って弁護士の元へ走った。
債権者集会では怖い思いもしたようだが、やがて免責となったところで礼状が届いた。そこには「こっちへ戻ってきて本当によかったと思います。あのまま逃げていたらと思うとゾッとします」とあった。
その後、Dさんは仙台から奥さんの実家がある盛岡へ移り、塗装会社へ就職した。手に職を持つ者の強みである。
そして5年ほどが過ぎたある日、Dさんがいきなり八起会へ相談に現れ、「また会社をやることになりそうで不安です。断りきれないのです。困りました。私にできるでしょうか」と言う。
Dさんの会社の社長が急死し、息子が跡を継いだが怠け者、遊び好きでどうにもならない。業績は落ちる一方。それをカバーするために社員の給与、下請け職人の日当をカットしたからおさまらない。
そこでDさんに独立してくれ、職人はみなついていく、となったはいいが、Dさんは自信がない。それに、そんなことをしたら会社を裏切ることになる。迷いに迷った末の相談である。
私は即座に「おやりなさい。会社を裏切ることなぞ気にしてはいけません。気にすべきはお客さんと社員です」とアドバイスした。間もなくDさんは独立し、前の会社は潰れ、その地域に塗装会社はDさんの会社のみとなり、目下、絶好調。