物流ウィークリーヘッドライン
仕事をすればするほど赤字がかさんでいく。そして借金だけがふえていく。この悪循環にDさんもさすがに「もはやこれまで」と腹をくくった。が、そういうときに限ってワルが近づいてくる。
同業仲間がやってきて、「そんなに困っているなら、ちょいと手形を切りなよ。500万ぐらいなら、すぐにつくってきてやるから」と言う。悪いときには悪い誘惑に勝てない。
Dさんは半信半疑ながらも手形を切った。と、それがカネに化けて手元へ戻ってくる。しかし、それも借金にほかならない。そういう手形はいったん切ったが最後、あとはズルズルと深みにはまっていく。そして案の定、何度かまわしているうちにパクられてしまった。万事休す。
平成9年、Dさんは500万円の手形決済を明日に控えたその夜、奥さんと2人の娘を奥さんの実家・盛岡へ向かわせ、自分は東京へ向かった。夜逃げである。
その翌日、Dさんが八起会を訪ねてきた。ひと通りいきさつを聞いたところで、私はDさんに所持金の有無と額を問うた。破産するにもカネがかかるからである。と、Dさんは奥さんに100万円、自分が100万円を持って逃げてきたという。
それだけあれば法的整理が可能と判断した私は、Dさんに戻ることをすすめた。が、彼は債権者が怖くて帰れないという。以下は私の説得である。
「それはわかりますが、このままでは一生逃げ続けることになりますよ。いくら逃げても債権者は夢の中まで追ってきます。あなたはともかく、奥さんやお子さんはどうなるのですか。いまならまだ間に合います。その100万と奥さんの100万を持って弁護士のところへ行きなさい。倒産は犯罪でもなんでもありません。法律にのっとってきちんと解決できます。そのけじめが、あなたのこれからを決定するのですよ」