物流ウィークリーヘッドライン
真面目に懸命に努力しても、結果が伴わないことは世の中にいっぱいある。経営もそのひとつかもしれない。むろん努力は必要だが、それだけで十分といかないところに経営の難しさがある。
何よりも、正しい方向に向けた努力でなければ意味がない。赤字体質の事業や、斜陽化しつつある事業に、いくら努力を傾注しても、報われる可能性は低い。大手企業ならM&Aや選択と集中という手もあるが、それができない中小企業は、どうしても汗と努力の量に頼らざるを得ない。が、その頑張りがかえって傷口を広げ、裏目に出るケースもある。今回からそうした一例を紹介しよう。
Dさんは東北の片田舎に生まれたが、小さいときに両親を事故で亡くし、祖父母に育てられた。高校の成績は良かったが、家が貧しかったため大学をあきらめ、職業訓練校に入って塗装の基礎技術を身につけた。
「手に職をつければ一生食いっぱぐれなし」「稼ぐに追いつく貧乏なし」という祖父母の教えに従ったのである。この教えはDさんの人生哲学となっていくが、皮肉にもそれが悲劇を招く。
昭和50年、訓練校を卒業したDさんは、仙台の中堅建築会社に就職、ビルや建物の外まわり塗装に従事していく。このサラリーマン生活が10年ばかり続いたところで独立、ささやかながら自営業として新しいスタートを切った。いわば一人親方の職人である。
それから5年間、Dさんはしゃにむに働いた。職人に土・日なしとばかりに働いた。その甲斐あって、サラリーマン時代に比べ大幅に年収が増えた。Dさんはそれをマイホーム資金としてコツコツ蓄えていく。そのままいけば、Dさんは一職人として幸せな人生を送ったであろう。そしてそのことに不満もなかったであろう。が、人生は筋書きのないドラマである。