物流ウィークリーヘッドライン
「私こと、日夜奮闘するも努力至らず、皆様方に多大のご迷惑をおかけする結果となり、まことに申しわけございません。深くお詫び申し上げます」
Yさんは事務所のシャッターに貼り紙をし、家族を連れて逃げた。裁判所から債権者へ破産決定通知書が届けば、取り立てが殺到しかねないからである。家族は親戚に預けたが、すぐにも生活費を稼がねばならない。
債権者集会を控える身では、弁護士や裁判所との打ち合わせがあり、定職に就くわけにもいかない。彼は日雇いとなって働く。きつい。こたえる。涙が出る。が、稼がないことには暮らしていけない。免責となったとき、彼の顔は裏表がわからないほど日焼けしていた。
その日焼けに驚いたか、2、3人の債権者が「もう一度やってみないか」と声をかけてくれた。Yさんは彼らに車を1台買ってもらい、再び寝具販売を始めた。やがて軌道に乗り、生活も安定したところへ、今度は療養所時代の知人から「手伝ってくれないか」と声をかけられた。迷いに迷ったが、彼は療養所を選んだ。以下はYさんの述懐である。
「かつての生活が戻ってきました。周りはいずれも重度の障害を持つ人たちばかりです。彼らを見ていると、お金がほしいとか豊かになりたいといった物欲が消えていきます。会社を経営していたときの生活に比べれば、いまは雲泥の差です。
しかし振り返れば、自分の人生のなかで、もっとも精神的に充実していたのは、やはり療養所関係の仕事をしていた時期だったと思います。それは、何ものにも代えがたい充実感でした。その意味では、債権者の方々に多大の迷惑をかけ、まことに申しわけないのですが、ようやく自分の人生の原点に戻ることができたと思います」
これも一つの再起である。形の再起より心の再起である。