物流ウィークリーヘッドライン
営業すればするほど赤字が積み上がっていくなかで、Yさんは徐々に平常心を失っていく。無理もない。世はバブルのまっただなか、どこもかしこも景気のいい話ばかりである。サラリーマンや主婦までが株式投資に走り、ひと儲けもふた儲けもしているのに、Yさんだけが資金繰りに追いまくられるとあっては、平常心の保ちようもない。
ついにYさんは賭けに出た。手持ちの資金をかき集め、借りられるだけ借りまくり、株式投資に乗り出していく。はじめのうちは笑いが止まらないほど儲かった。買う株、買う株が値上がりしていく。まさにバブルである。
しかし、彼はそれを自分の手腕と錯覚し、マネーゲームにのめり込んでいく。彼だけではない。銀行も大企業も本業を忘れ、土地転がしやマネーゲームにうつつをぬかし、バブルをあおりにあおった。
しかし、ほどなくバブルがはじける。土地の流動性はピタッと止まり、株価も4万円を目前にして天井をつけ、以後、下落の一途をたどっていく。長期デフレ不況と失われた15年の始まりである。
Yさんは事ここに至ってもあきらめきれない。株価の「反転」を信じ、サラ金、街金、ヤミ金の間を駆けずりまわり、いたずらに借金の山を築いていく。その山が1億5000万円を超えたところで、ついに万策尽きた。
Yさんが八起会へ相談にみえたのは、そんなときである。しかし、どうこうなる数字ではなかった。株の借金のほかに本業の借金もあり、その本業も先細りとあってはどうにもならない。結局、会社の破産と自己破産を同時に申請するしかなかった。
負債額は2億3000万円。ついにYさんは12年間の経営にピリオドを打った。平成5年のことである。バブルに浮きバブルに沈んだ典型的ケースと言っていい。