物流ウィークリーヘッドライン
Yさんの「浮き」は長く続かなかった。6年目、思わぬ方向から「沈み」が襲ってきた。肝心の毛布メーカーが突然、財閥系の大手繊維メーカーに吸収されてしまったのである。これで万事休す。独立した販売会社として営業してきたYさんら全国150人の仲間は、いきなり廃業の淵に立たされた。
相談を重ねた結果、廃業組と分社組に分かれることに決した。26県のうち14県が廃業組、12県が分社組である。
分社組はそれぞれ独立して会社を興し、共同で商品を仕入れ、ビジネスを続けようという組である。Yさんも分社組に加わった。銀行から資金を借りて会社を設立し、社員も2人雇った。ときに40歳、曲がりなりにも経営者である。
初年度の売上高は1億円。まずまずのスタートである。2年目、3年目と順調に伸びていく。が、4年目に入ったあたりから伸びが止まった。やがて月商が下落に転じていく。Yさんは扱う商品を毛布だけでなく、シーツや枕カバーなど寝具全般に広げ、懸命に下落を食い止めようとするがどうにもならない。
時代はバブルに入っていた。経済は爛熟し、資産効果にあおられた消費者は高品質、差別化商品へ走り、少品種大量生産の時代は確実に終わりつつあった。そんなときに画一的な毛布やシーツなど、売れるはずもない。まして、病院や市役所にパンフレットを置いて注文を待つ販売方法など通用しない。Yさんはその時代認識に欠けていたかもしれない。
バブルは超インフレを意味する。そんなときに年商の横ばいや低下では経営が成り立たない。Yさんはそのシグナルに気付かなかった。したがってもがく。が、もがけばもがくほど赤字と借金がふえていく。その先は倒産しかない。