物流ウィークリーヘッドライン
倒産後、子どものいないWさんは奥さんと2人、東京へ出て八起会の会員になった。彼は2度目の不渡りを出したその日に、再起を誓ったという。大抵の倒産者は打ちのめされ、しばらくは生きる意欲さえ持てないものだが、彼は違った。
さっそく浅草の香辛料問屋に押しかけ、事情を話し、「もう一度基本から修業しなおしたい」と拝み倒して雇ってもらう。そして夜はパソコン教室に半年、薄記学校に1年通い、八起会の勉強も欠かさなかった。すべて再起のための準備である。
Wさんは自分の弱点に気付いていた。計数管理の欠如がアバウト経営を招き、そのアバウトを埋めるために売り上げの拡大に走りすぎたことを。また、脇の甘さが7匹の白アリにたかりを許し、お人好しと規模縮小の勇気を欠いたことが倒産を招いたことを。そこを克服するための薄記学校であり、問屋修業である。その修業のなかでパソコンによる商品管理、インターネットによる営業を学んだことは、のちのち大いに役立っていく。
その間、奥さんもパートで働き、爪に火をともすような生活をつづけながら、2人でコツコツと再起資金を蓄えていく。そして雌伏すること7年、ついにチャンスが訪れた。Wさんの郷里・九州で、後継者のいない唐辛子の家内工場が売りに出たのである。彼がとびついたことは言うまでもない。
平成16年、Wさんは再び香辛料の製造・販売を始めた。25年前同様、奥さんと2人だけのスタートである。が、彼はもはやかつての彼ではない。営業はインターネットに任せ、ひたすら品質の向上を目指していく。
2年目、その品質が認められ、県の料理組合に採用された。その信用が何よりの営業力となり、年商2億円を突破した。Wさんは目下、設備投資に踏み切るかどうか、贅沢な悩みのなかにある。