物流ウィークリーヘッドライン
Wさんは売り上げ至上主義によって急成長を遂げ、それによって倒産を余儀なくされたと言っていい。売り上げを伸ばすためにはその地域の2番手、3番手の問屋とも取引しなければならない。そういう問屋が7軒もあり、彼の売り上げの約60%を占めていた。
そうなると、7軒が資金難に陥ったときなどは融通してやらなければならなくなり、やがて取引先というよりも、グループ内の営業所のような存在になっていく。この腐れ縁が彼の命とりになったと言っていい。
はじめのうちは7軒とも、融通した資金はきちんと返してくれた。が、それもたび重なると当たり前になっていく。少しでも資金難に陥ると、すぐさま泣きついてくる。Wさんとしても倒産されては困るから融通せざるを得ない。が、いくら内部留保があるといっても、彼にも限界がある。そこから融通手形になるまでは、ほんのひとっとびにすぎなかった。これが彼の首を絞めていく。
平成7、8年頃から、Wさんと7社の間を手形が乱れ飛ぶようになった。互いに決済できれば問題はないが、7社にその力はない。ジャンプの依頼は朝めし前、その日になって「不渡りになりそうだ」と泣きついてくる。そのたびに彼は買い戻しに奔走しなければならない。この買い戻しと自社手形決済のダブル・パンチに、さしものWさんも経営体力を消耗していく。
買い戻しだけでも平成8年には3億円、同9年は4億円となったところで、彼の資金は底をついた。そこへいっせいに7社からジャンプの依頼が舞い込む。が、もはや彼になす術はない。わずか3週間の間に7社のうち6社が倒産、Wさんもその1か月後、倒産を余儀なくされた。
売り上げを落としたくないばっかりに、経営の土台を食い荒らす7匹の白アリを、結局、Wさんは駆除することができなかったのである。