物流ウィークリーヘッドライン
Fさんにとって円高は、輸出の不振だけにとどまらなかった。当然ながら円高の裏にはドル安がくっついている。円高は輸出にブレーキをかける一方、輸入にとってはアクセルとなる。Fさんはそのダブル・パンチをもろに受けた。ドル安に後押しされた海外の文具・玩具が、ドッと日本市場に攻め寄せてきたのである。とにかく安い。コスト的にとても太刀打ちできない。
それもそのはずである。文具や玩具など誰にでもつくれる商品である。人件費の安いアジア諸国にそれをやられては、到底勝ち目はない。それに、アジア諸国の通貨はドルにリンクしているから、円高・ドル安は絶好の追い風になる。こうして国内市場は瞬く間に輸入品に席巻されていく。
Fさんの文具・玩具はすっかり行き場を失った。そこへさらに、トレンドの変化が追い打ちをかけた。時代はすでに大量少品種から少量多品種へ移り、実用だけのダサイものは見向きもされない時代に入っていたのである。
そうなると企画力が問われる。Fさんは企画力には自信があったが、果たしてその方向に特化してもよいものかどうか、そこで大いに迷った。というのも、たとえば付加価値をつけたボールペン一種を立ち上げるにも、金型だけで何百万円もの投資が必要になる。しかも、その金型はあっという間にダサくなって使えなくなる。そうするとまた新しい企画、新しい金型を導入しなければならない。
そうして次々に新製品を開発していくことがはたして可能か。可能としても、次々に投資を回収して利益を上げていくことが可能か。そこにFさんの迷いと疑問があった。このときすでに、Fさんの経営は終わりを告げていたのかもしれない。やがてFさんは円高、輸入品、トレンド変化の3重苦に押しつぶされていく。