八起会・倒産110番

第223回:心の座標軸を定めよ

 ひと口に再起といっても、その内容は千差万別である。ただ倒産の過程で、どのように会社を整理したかは、その後の再起に大きく響く。夜逃げなどは論外だが、誠実に整理を行った人ほど再起は早い。といって、誠実でありさえすれば誰もが再起できる、というほど甘くはない。

 日本は米国などと比べ、きわめて敗者復活には厳しい社会である。倒産者の再起は1割程度にすぎない。再起道場のわが会員ですら、3割強にすぎない。倒産はそれほど重いハンディである。

 しかし、倒産は経営上の失敗であって、犯罪でもなければ人間失格でもない。地位も名誉も財産も失うが、誠実に整理をすれば、再起を妨げるものは何もない。ただ、上手な整理と下手な整理はある。が、上手な整理をしたからといって、再起が可能になるわけでも早まるわけでもない。実態はむしろ逆である。そこに理外の理が存在する。

 八起会会員のなかには、夜逃げしたり下手な整理をしたばっかりに、倒産地獄をのたうちまわった人も少なくない。それだけに彼らは2度と同じ苦しみを味わうまいと、真剣に自らの失敗を反省する。

 反省は行動を促さずにおかない。生活習慣が変わり、人間関係が変わり、行動様式が変われば、おのずと心の座標軸も移動していく。すなわち、倒産前とは違う新しい自分が出来上がる。そこから再起まではほんのひとっ跳びである。そして再起しても、2度と同じ失敗を繰り返すことはない。

 ところが、上手に会社整理をした人は苦しみの少ない分、反省心も乏しく、いつまでも心の座標軸が動かない。それでは再起も遅れるし、運よく再起しても、同じ失敗を繰り返すこと必定である。そういう例は枚挙にいとまがない。次回からそうした実例を紹介しよう。

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
野口 誠一

【野口 誠一氏プロフィール】

昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。

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