八起会・倒産110番

第222回:同族経営心得十か条

 前回まで同族経営の事例を2つ紹介したが、実は八起会には「同族経営心得十か条」がある。中小企業には同族経営も少なくないから、まずはそれを紹介しよう。

 一、同族円満(親子、夫婦、兄弟、息子の嫁、娘の婿)

 二、経営理念の確立(将来の会社の姿、将来の社員の姿を明確に)
 
 三、計数管理(ガラス張りの経営、給与体系の明確化)

 四、公私混同(金銭感覚の欠如、社員の奴隷視)

 五、時間管理(働きすぎ、遊びすぎ)

 六、事業目的・目標・計画の徹底

 七、危機感(自分に限っては倒産する)

 八、良質の人脈づくり

 九、企業は社会の公器(同族の私物にあらず・還元の精神を)

 十、風通しのよい企業文化(トップに負の情報も伝わるように)

 この十か条については説明の要もあるまいが、第七条の「危機感」は、順風・逆風に限らず、自分に限っては倒産する、と恐れるぐらいでちょうどいい、という意味である。八起会のデータでは、倒産者の9割が「自分に限っては倒産するはずがない」と思っていたことを示している。

 第九条の「企業は社会の公器」は、同族経営といえども私物ではないという意味である。経営は私的行為ではなく、社会的営為である。同族経営の場合、家業という意識が強すぎるのか、どうもそこのところが混同されやすい。

 経営の「経」とはタテ系のこと、つまり筋を通すことである。とすれば、筋道正しく事業を営むことが経営である。企業はそのための手段にすぎない。同族経営といえども、その使命は免れない。

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
野口 誠一

【野口 誠一氏プロフィール】

昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。

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