物流ウィークリーヘッドライン
同族経営は難しい。血は水よりも濃しというが、それだけに水のようには淡々とはいかず、メリットの側にもデメリットの側にも、必要以上に大きくブレる。この「ブレ」の大きさを認識しておく必要がある。今回から同族経営の破綻と再生の2例を紹介しよう。
Fさんは平成7年、それまで7年間勤めた商社を辞め、兄の経営する梱包材料会社(東京・浅草)の営業を手伝い始めた。兄が特殊な紙に糸を入れた新製品を開発すれば、弟も商社時代のコネを活用し、新規取引を拡大するという2人3脚で、業容・業績は一気に拡大、二年後にはそれまで2億円台にすぎなかった年商が5億円台に跳ね上がった。
しかし、危機はいつも絶頂期にやってくる。とくに同族経営の場合、逆境時には結束するが、順境になるとタガがゆるむ。
Fさんの場合も、拡大する利益に目のくらんだ兄が、埼玉県下に別会社をつくった頃から、2人3脚の歯車が狂い始める。別会社は20人ほどのパートを使って特殊な紙袋をつくる工場で、兄嫁が社長となった。
だが、これが「2つの財布」をつくろうとする兄の画策にすぎなかったことは、やがてFさんの目にも明らかになる。というのも、資材や材料などの購入費を支払うのは浅草の本社、売り上げは埼玉の別会社に立つ。つまり、本社は支出用の財布で常に赤字、別会社は収入用の財布で常に黒字というわけである。
しかも、黒字の財布からは兄嫁が破格の給与を吸い上げていくのだから、Fさんが怒り心頭に発したとしても無理からぬことであった。これが兄弟不和の発端である。
そこへ兄夫婦と同居していた母親が兄嫁とそりが合わず、Fさんのところに飛び出して来たことが兄弟仲を決定的なものとし、Fさんは独立を決意した。