八起会・倒産110番

第216回:社長のワースト批評(3)

 前回は、倒産の原因ワースト第3位まで紹介した。残るは2つである。

 ワースト第2位・・・社員教育の不備・欠如→100%合致
 「社員が育たない」「あの部長は社員を教育できない」──これが社長の口癖。あるとき、私が「そのような部長を任用したのは、社長ご自身じゃありませんか」といったところ、即座に「言うな!」とのお叱り。また、あるとき、「10年も前から社員教育制度を考えろと総務部長にいってきたが、いまだに何もしていない。キミが考えてくれ」と社長にいわれ、とりあえず資格取得報酬制度を提案すると、これもまた「検討課題だな。あとで見ておく」で、肝心の「あと」はなし。

 第1位・・・経営者の高慢・経営能力の過信→100%合致
 これは野口会長が「高慢病」と名づけられ、「本人に病気という自覚がないから始末が悪い」「まず視野が狭くなり、周りが見えなくなる。次に自分に甘くなり、他人には厳しくなる。そして苦言・忠告が耳に入らなくなり、やがて甘言・追従にのせられていく」と書かれているように、そのものズバリ。

 さて、以上がEさんの採点である。ほとんどが「100%合致」である。これでは「きっかけ」次第でいつ潰れてもおかしくない「倒産予備軍」としか言いようがない。

 私はEさんの採点が「からい」とは思わない。なぜなら、Eさんは社長に可愛がられており、また「社長の恥をさらし、胸が痛みます」とも記し、それでも私に訴えざるを得なかった心境を、次のように述べているからである。

 「私は新参者だけに社長の心を変えることは難しく、またそのような器でもありません。何とか社長自身に心を入れ替えていただきたいのですが、それが難しく非常に悩んでおります」

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
野口 誠一

【野口 誠一氏プロフィール】

昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。

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