物流ウィークリーヘッドライン
私は常々「忙しすぎる社長は危ない」と言っている。技術が好きだから、販売が好きだからといって、社長がいつも工場や現場で忙しくしていては、経営のバランスを欠く。それは一見、社長が率先して働いているように見えながら、その実、自分の趣味に没頭しているにすぎない。それでは経営が片寄る。
社長の最大の仕事は組織管理と計数管理のはずである。といって、社長室でパターの練習をしているような社長では、もっと困る。要はそのバランスであろう。
今回からそうした多忙社長、趣味社長の転落と再生の事例を紹介しよう。
Dさんは昭和63年、東京中央区に文具・事務用品の製造販売会社を設立した。主力商品はポリプロピレン樹脂で造った各種ホルダー、ファイル、キャリーバッグの類である。時にDさん50歳と、遅ればせの独立だったが、自信満々のスタートでもあった。それというのも、Dさんは事務器の大手企業で企画開発と営業を担当し、会社切ってのアイデアマン、ナンバー1セールスマンとして輝かしいキャリアを持っていたからである。
それまではスチール事務器が主力だった会社に、プラスチック戦略を持ち込んだのはDさんである。そのプラスチックにカビが発生するとか、公害が発生するとか言われはじめるや、Dさんはすぐさまポリプロピレン樹脂に切り換えていく。
そこにはDさんのあくなき探求心と情報収集があった。当時、イタリアで開発されたポリプロピレンに毒性がないと知るや、さっそくリサーチに乗り出し、すでにアメリカでタッパーや弁当箱に使われだしているとの情報をキャッチし、ただちに新製品の開発に結びつけていく。
そして飛行機のなかをベッド代わりに、全国をセールスに飛びまわった。それが彼のキャリアである。