物流ウィークリーヘッドライン
「人間万事塞翁が馬」という故事がある。塞とは辺境の砦(要塞)のことである。その辺境の地に老人(翁)が暮らしていた。ある日、老人の馬が逃げ出し、遠く異境へ走り去ってしまった。人々は老人に同情した。
が、老人は「いずれいいこともあるさ」と言った。そして数か月が過ぎたある日、逃げた馬が立派な馬を伴って戻ってきた。人々は大いに祝福した。が、老人は「何か悪いことが起きなければいいが」と言った。
老人は良い子馬に恵まれ、豊かになった。が、そんなある日、乗馬好きの佼が落馬し、足の骨を折ってしまった。人々は老人を慰めた。と老人がまたしても「またいいことがあるさ」と言った。やがて1年、異境の軍が突如、塞に攻め込んできた。
人々は大いに防戦したが、この戦争で塞は青年男子の九割を失った。が老人と佼はかろうじて生き延びた。佼の足が不自由だったからである。
この故事は、人の運命や幸・不幸は予測しがたいことを教えている。と同時に、幸が不幸のタネとなり、不幸が幸のタネとなることも教えている。経営も同様である。倒産のきざしは経営の絶頂期に芽生えるし、倒産が新たな飛躍のチャンスとなる例も少なくない。今回からそうした事例として八起会会員のケースを紹介しよう。
Sさんは昭和31年、山形県の農家に生まれた。地元の高校を出て仙台の大学に進学したが、家が貧しく、学費も生活費もすべて自分で稼がねばならなかった。彼は3年半、仙台市内の一流ホテルでアルバイトを続けた。その間、ホテルで華やかな一面も垣間見た。
ホテルで働く者と、そこへ出入りする者の間には、その生活レベルと社会的地位には、雲泥の差がある。いつかは自分も出入りする側の人間になってみせる・・・彼はそう心に誓った。