物流ウィークリーヘッドライン
景気は「いざなぎ」を超えたという。が、いまも倒産件数は年間1万3000件超と、毎日36社もの企業が倒産を余儀なくされている。その大半は中小企業であり、とりわけ回復の遅れが目立つ地方が厳しい。
中小企業の倒産は悲劇のかたまりである。それまで築いてきた信用も名声も財産も一気に失い、経営者失格どころか人間失格のレッテルさえ張られかねない。
社員や取引先にも多大の迷惑が及ぶ。何よりも地域世間に顔向けできない。そんなところから夜逃げや一家離散、さらには自殺や一家心中もまま起きる。
八起会はそうした悲劇とほぼ30年、向かい合ってきた。その実例のなかから、死線を越えて再起したケースを紹介しよう。
それは倒産110番のベルから始まった。
「もしもし、野口会長さんですか。会長さんのことはテレビや本でよく存じ上げています。前々からぜひ一度お目にかかり、お話を伺いたいと思っていましたが、やっとそのチャンスがめぐってきました。このチャンスをのがすと永遠にお目にかかれなくなってしまいますので、ご迷惑とは存じますが、ぜひお願いします。いま九州ですが、あす飛行機で東京へまいりますのでよろしくお願いします」
なんとも奇妙な電話である。「会いたい」ということはわかるが、どんな用件なのか、まるでわからない。私は問い返した。
「あす東京へいらっしゃるというのは、何か用事があって、そのついでに私どものところへ立ち寄られるということでしょうか」
「いえいえ、会長さんにお目にかかるために行くんです」
「わざわざ九州からいらっしゃるというのは、何かのっぴきならない相談でもあってのことでしょうか」
再度問い返すと、とんでもない答えが返ってきた。