花房陵の「現場の物流術」

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11.世の中に余っているもの

2010年12月 8日

 

 住友商事が決断した。旭硝子も準備を始めた。東証専門委員会も4部門が立ち上がった。日経はIFRS専門のポータルサイトを企画中。いよいよ本格化してきているIFRSブームだが、その目的と時代背景をもう一度振り返ってみたい、IFRS無関係とうそぶくだけでなく、時流を見る目を養って欲しいからだ。

 

 デフレだ、不景気が、政治不信だと他人責任をあげつらう話題に事欠かないが、己はどこに向かうべきか定まっているだろうか。業界横並びで世間話をしているだけでは、光明すら見えてこない。

 

 物流は量の商売だが生産も消費も高まらない以上、増える市場はもう存在しない。ではなく、このご時世でも増え続けているモノが確実にある。リタイアした団塊世代の熟年層、バーゲンでも売れ残ってしまった商品、資源化を見限られた廃棄物、80万棟にも及ぶ住宅立替資材、そして驚くべきことに現金が世の中にはあふれかえっている。

 デフレだから現金は何より使い勝手があるはずなのに、低金利政策の影響もあり不安で不安で仕方がない資金は世に余っているのだ。

 金融機関も預金量の70%しか貸し出せていない現実があり、金融機関は黒字になれない。

 

 金余りの本質は金利にあり、金利が上がれば貯蓄から消費に向かう。GNPは消費と投資が等しくなり、どちらかを誘導すれば景気は回復するはずなのにである。

 

 低金利の本質は金融機関への援助であり、次期優良産業としての後押しを必要とされているからで、15年前から始まっている。そのことの恨みは別にしても、資金はどこにでも余っている。運用方法を見つけられないのは、ただ単に企業家の努力が足りていない。資本主義を謳歌する企業家は、投資によって利益を目指すが、普段は資金が足りない。今はどこにでもある。しかも歴史上最低の金利なのである。

 

 資本主義はどこへ行くか。金を求めて世界を回る必要はないのだ。足元に手元にちゃんとあるが、手出しできないのは運用アイデアが足りないといえるだろう。

 こんな金融環境だから、アイデア次第では莫大な投資運用がとてつもない利益を生み出す。企業家は今必死にそのアイデアを求めている。

 原資と運用という机上のプランで起動すればどうなるか?

 

急激な事業の立ち上がりが、いったん成功すれば、追従と競争が始まり、一気に新しい市場が登場する。・・・・・たら、れば、仮定の話なのに。

 

 その時、社会はどう変わるか。今まではどうなっていたか。成長と繁栄は保証されていたか。経済の追求は幸福の実現をもたらしてきたか。

 

 必ずしも肯定できない資本主義の歴史があったのは確かだ。競争社会は不平等を生み出し、幸福と不幸をアンバランスに生み出した。成功の影には暗い闇があり、急激な成長は不祥事の連続となった経緯がある。

 

 IFRSはこんな時代、歴史背景の抑止力として考案されているのだ。

 

制度は歴史と共にあり、より良き時代を築くのが制度の目的だからだ。

 

企業や社会をどうやって導くべきかは、ただ一言リスク管理にある。失敗がどのような影響をもたらすのか、成功の為に抑制させなければならない真理は何か。金余りと企業家のアイデアをどうやってリードしてゆくことが、本来の制度なのか。・・・・・やたらと増えたと感じるさまざまな制度には意図があるのだ。

 

筆者紹介

イーソーコ総合研究所
主席コンサルタント 花房 陵

花房 陵 「コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。」

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