花房陵の「現場の物流術」

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8.賃貸倉庫は時価評価のルールが適用される

2010年10月29日

 IFRSでは日本とアメリカが残されている、財務会計の手法としては2005年にはEUが強制適用されている。わが国でも2015年にそうなると、初度適用として過去3年分の財務諸表は日本版企業会計基準とIFRSと2通りを比較できるように作成しなくてはならない。その労力は大変なものであるが、逆に大変な幸運も訪れることになる。

 企業によっての資本の自由化や直接融資の道が一気に開けるからだ。

 製造流通業界は厳しい時代を送ってきた。「売上げが欲しい」「コストダウンを図りたい」「今期こそ黒字配当を」という願いは、大企業であろうとまったく同じであり、中小零細との違いは選択肢の多さ、戦略のとり方にある。

 戦略の意味や解釈にはさまざまがあって、「経営にとってとても重要だ」というあいまいな号令のもののようなものから、「マーケットが変化するなら、自社をどのように変革せねばならないか」という先見性の課題を明らかにしているものまである。

 グローバル化の波の中で選択すべき戦略とは、後者のように自由度のあるものでなければならない。何がしたいか、ではなく何が正義であり、何をなすべきかという選択バイアスを排除した、ゼロベースでの事業再構築でなければならない。

 IFRSで要求されている原則主義=説明責任の強化に対して、誰かに頼るのではなく自社の主張が必要であり、公正価値=時価評価を基本とした利益算定には、包括利益という資産の純増を意味しており操作や恣意性が排除されても当然としなくてはならない。企業はステークホルダー=外部の関与者への説明責任が問われることが時代の流れだからである。ディスクロージャーというのは、説明責任そのものだからである。

 経営の公正化が時代の流れである。

だから、・・・・・・・・。

 当面は公開企業の連結決算報告だけに適用しようとしているが、これは便宜である。旧来の流れからの大幅な軌道修正には痛みや労苦を伴うから、という理由がまだまだ残っている。

 時代や環境への対応が遅れてもやむなし、というガラパゴス文化の名残である。

 ゆるい制度と思えばそうだが、いつまでも続かない。時代を自らが拓く覚悟なくして、本来の戦略は立ち行かないはずなのだ。

 

 大手企業グループにホールディング制度が進んでいる。機動的な経営や事業やサービスの存続を掛けた積極的M&A推進のために、百貨店は大店すら手放す覚悟が見えている。大手重化学工業では、工場そのものの存続が問われている。自動車関連もまたその動きを追っている。

 自社工場、自社不動産もオフバランスで手放し始めたとたんに、不動産は公正価値を示さねばならない。

 賃貸用事業不動産は公正価値評価の対象であり、時価算定が必要になる。

 

 償却年度によって利益捻出をしている場合ではないのだ。この点、物流不動産のマーケットが大きく変化する可能性が出てきている。

 

筆者紹介

イーソーコ総合研究所
主席コンサルタント 花房 陵

花房 陵 「コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。」

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