花房陵の「現場の物流術」

ブログトップへ

7.IFRSは世界共通の企業診断証明書なのだ

2010年10月14日

 国際会計基準への移行はすでに始まっていて、我が国では日本電波工業が本年春の決算報告で第1号となった。この流れはすでに始まっており、止めることはできない。デフレ経済化でにっちもさっちも行かずに売上追求、コストダウンに必死の経営なのに、内部管理や制度対応に追われるのは、いかんともし難い状況であることは確かである。

 これが時代の流れであれ、新たな得意先の要求事項であれ、慣れない制度が次ぎ次と登場することは悩みの種ではある。・・・・しかし、この逆らえない時代の流れを改めて考えてみたい。

 

・日本電波工業の勇気

 我が国IFRS第1号の認定はどのような背景から生まれたのであろうか。僅かといっては失礼だが、たかだか500億円の中堅企業が超大手を差し置いて、グローバル対応の新たな制度に積極果敢に取り組んだ背景のことである。

 ●売上が欲しい

 ●人材が欲しい

 ●優れた商品が欲しい

 ●競合を出し抜きたい

経営の目的は永遠の継続にあり、成長は一本の右肩上がりの直線で描くことはできない。だとすると、売上が欲しい=利益が欲しい、人材が欲しい=優れた売上と経費削減の付加価値創造につながる人物のことだろう。

 そのほかの願望もまた、企業存続の利益の為に希うものであろう。

 

では逆説的に考えてみると、売上が上がらない、利益が出ない、人材がいない、商品もない、競合に圧倒されそうだ、という事態に追い込まれたとき、経営者はどんな意思決定を行うだろうか。

 

 事業縮小や清算が最終手段としたら、その前に尽くせる打ち手を捜すはずであり、そこには事業やビジネスそのもののM&Aや資本の新たな注入がある。

 史上最低の金利や為替事情をしても、空手で資金調達はできない。ビジネスパートナーを世界から探すにしても、自己診断や釣り書きが必要なのだ。

 考えてみると売上の追求は自己努力であるが、M&Aによる競合の買収も同じように考えることができる。

 事業ミックスによる部門の売却だって、縮小よりは買い手を捜しての取引のほうが有利に働く。

 心機一転新たな事業への取り組みの為に銀行家に説明するより、株式を公開したほうが将来的な資金計画は安定する。

 

・M&Aの必要条件

 

 事業や企業そのものの売買を示すのがM&Aだ。長年培ってきたノウハウを市場の評価に合わせて売却することも、買収することも考えてみれば営業戦略の一環になっている。営業部門の努力目標とM&Aによる売買のどこが異なるのかを説明するまでもないだろう。

 事業そのもののパフォーマンスが下がってきたとき、その理由は様々だろうが、事業規模という経済性の問題ならばM&Aこそが一石二鳥の手段となることもある。

 資本の調達だって、いつまでも経営者の個人保証ではすぐに限界点がやってくる。株式の公開は、経営の開示につながるから、隠したいなら無理だが、広く資本をローコストで調達するには最適の手段といえる。

 端的に言って、増資とは印刷のことだし、株価は業績や計画の評価そのものであり、株価が下がるのは事業計画の信頼性が低いことなのだ。

 財務情報を外部に知らしめるとき、作った数字では意味がない。まさに企業の健康診断を行わねばならず、その際には日本語でしか説明できない資料よりは、世界共通のフォーマットがあればなお良い。まさにこれがIFRSなのである。

 

 新たな取り組みを目指すとき、自社でコツコツと努力して積み上げるか、提携パートナーを見つけてアライアンスを組むか、M&Aを利用して一気に上りあがるかは、まさに経営戦略そのものだ。必要なのは、時流を読む先見性と少しの資金、これが問題なら資金調達のプロを雇うのではなく、広く自社を知らしめる広報手段を知るべきなのだ。これがIFRSと考えれば、永遠の企業とは日本を含み、日本を離れ、世界の資本を求めて時にM&A、時に自社開発、そして互いを知り合う提携パートナーとの出会いになる。

 やはり、IFRSは必要な企業診断証明書になっているのだ。

 

筆者紹介

イーソーコ総合研究所
主席コンサルタント 花房 陵

花房 陵 「コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。」

最近のブログ記事
月別アーカイブ