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冬季トラブル対策を 豪雪のなか、3日間待機
2017年2月 6日号

冬季トラブル対策を 豪雪のなか、3日間待機

北進運輸 福田正二さん

 北進運輸(中川進治社長、三重県桑名市)のドライバー・福田正二さんが大雪の被害に遭ったのは3年前、関東から近畿までの配送の途中だった。
 事前に携帯で、他のドライバーから高速道路の状況について聞いていたが、道路状況は変化し、高速が通行止めとなったため、やむなく一般道を走ることとなった。その道も、各所から合流してきた車両で大渋滞が起こっており、現地警察が車両誘導に出動するほどの混乱だったという。一般車を優先して誘導していった警察から待機するようにとの指示を受けた福田さんだったが、結局、警察は来ず、仮眠を取ることにしたという。

渋滞待機中に車両が埋もれ

 その後、仮眠から覚めた時にはトラックのステップにまで雪が積もっており、警察も来られなくなったことを悟った福田さん。「虫の声も全く聞こえず、生きた心地がしなかった」と、その時の様子を語る。
 福田さん同様に、待機していたトラックはおよそ30台。ドライバーの年齢も20代から60代までと幅広く、ナンバーも九州や近畿など様々だったという。
 雪に車ごと埋もれた福田さんたちは、まず自力で車外に出て、ほかのドライバーの安否確認に向かい、顔を合わせて無事を知った。
 中には、延着が許されないという荷物のことを考え、落ち着かないそぶりを見せるドライバーもいたそうで、福田さんも大型ショッピングモールの開店に合わせた商品棚の配送ということもあり、当初は荷物のことで頭がいっぱいだったというが、次第に自身を含めたドライバーの安全確保へと意識が向いていった。
 携帯電話の電波も届かず、現地の環境は厳しかった。夜、エアコンをつけずに寝ると、車内のカーテンや毛布が凍るほどの気温だった。食料は偶然持っていたものを全員が持ち寄り、飲料水も最終的には鍋や小型のコンロを持っていたドライバーに雪を溶かしてもらって確保するという状況。いつ脱出できるか分からないため、トラックの燃料消費を抑え、極力エンジンをつけないでいたという。
 福田さんたちは商品を守るため、車に積もった雪を下ろしつつ、その場で待機するしかなかった。歩ける程度まで道路状況が回復した後は、携帯電話の電波の届く地点などを探し、各自で対策を講じた。
 結局、携帯で連絡を入れることができたのは、車が止まって3日目のことだった。福田さんは、一番に会社へ連絡を入れたという。また、幸いにガソリンスタンドも発見できたため、車両停止から4日目に救助の除雪車が到着したことで、すぐに出発できたという。

人の温かみに触れた3日間

 車両が雪に埋もれて動けず、救助も来ないという困難な状況にあった福田さんたちだが、現場では絶望することなく、ドライバー同士が互いに交流し、情報を共有しあうなど、徐々に助け合うようになったという。
 女性ドライバーのために仮設トイレを造り、ガソリンスタンドからガソリンを確保するため、全員でガソリンの輸送に協力するという場面も。
 福田さんは「皆が挫けなかった。トラックドライバーのメンタルの強さを実感した」と当時を振り返る。また、「大勢でいたから3日も耐えられたとも思う。自分一人だけだったら、単独で降りようとしていたかもしれない。人の温かみに触れた3日間だった」とも話す。
 福田さんは現在も、当時協力しあったドライバーたちと交流を続けているという。また、社内では凍結解消用品の携帯を呼びかけるなど、冬季のトラブル対策を他のドライバーへ伝えており、この事態以降、福田さん自身も一層の対策を行っているという。