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健康経営への取組み 腰痛予防セミナーと個別施術
2016年11月14日号

健康経営への取組み 腰痛予防セミナーと個別施術

松葉倉庫運輸

 昨年12月に施行された「ストレスチェックの義務化」や、バスやトラックの事故などで報じられる「健康管理の重要性」。国の動きとも相まって、「健康」に対する意識は、国全体に浸透し始めている。運送事業者の中でも安全や人材の定着、経営リスクの低減など、様々な観点から社員の健康に関心を寄せる企業も増えている。ドライバーの職業病ともいえる「腰痛」の対策に注力し、「健康経営」に取り組む事業者を取材した。

 昨今、テレビや雑誌などのメディアでよく耳にする「健康経営」という言葉。健康経営研究会のHPによると、「『企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる』との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味する。従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上などの効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要」としている。
 これまで健康管理に関しては自分自身で食生活・運動習慣・休養などに気を配るべきものとされてきたが、生活習慣病の増加と若年化や、メンタルヘルスの問題への対応のため、企業が従業員とコミュニケーションを密にし、健康づくりに取り組む必要性が高まっている。
 ドライバーの健康管理で問題となっている一つが「腰痛」だ。腰痛は全業務を通じて疾病のうち約6割を占め、トラックドライバーを代表とする「運輸交通業」の業種別腰痛発生割合は、平成21年の厚労省の「業務上疾病発生状況調査」によると4位に位置し、約15%と高い水準にある。腰部に過重な負担のかかる作業が多くあることが原因とされ、対策が急務となっている。
 そんな中で腰痛防止に注力し、「健康経営」を実践しているのは、静岡県藤枝市に本社を構える松葉倉庫運輸の松葉秀介社長。毎月行われている安全会議に併せて、腰痛予防セミナーと個別施術を実施。地元の異業種交流会で縁を持った、鍼灸院「新伝院」を開業している寺田卓正院長が同社をサポート。
 「腰痛などが悪化すれば仕事を急に休むことにもなり、経営上のリスクもある。職場環境を改善することで働きやすい会社にして、人材獲得・定着化にもつなげたい」との思いで始めた松葉社長。
 1人約20分で、3人を目安に施術と問診を行う。その後の全体セミナーでは腰痛の危険ポイント、具体的な予防法(業務中にできるストレッチなど)を分かりやすく解説。ドライバーとの質疑応答で、コミュニケーションも深めている。また、普段の食生活に関しても注意するようになり、健康的な食生活への改善にもつながっている。
 施術の利用頻度の高いドライバーは「自分から病院やマッサージを受けにいかないが、会社に先生が来るのでありがたい。自分自身も、健康への意識が高まっているように感じている」と話す。施術する寺田氏は「定期的に見ることができるので、こちらとしても個々の状況や特徴を把握できる。自ら病院に行くことや治療することに抵抗がある方もいる。社員の健康を守ることは『企業存続の投資』と考えてほしい。社員の健康は重要な経営資源と言える」と重要性を強調する。