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ドライバーに役職制 社内ポジション向上へ
2016年7月18日号

ドライバーに役職制 社内ポジション向上へ

西福運送

 【福岡】運送業界の、人手不足が深刻化し、ドライバーの待遇改善を図る事業者の姿が目立ち始めているが、それはあくまでドライバーの働き方の改善であって、ドライバーのポジションまで改善するという動きではない。こうした中、県内の事業者ではこのほど、ドライバーに役職制を導入し、ドライバーの待遇改善を図るとともに、社内における立場の改善まで図ろうとしている。
 役職制の導入を図ったのは、古賀市に本社を置く西福運送(山元健蔵社長)。同社は、平ボディーやユニック車、ウイング車など、豊富な車種をそろえ、建設資材や仮設資材、ユニック作業全般など、幅広い輸送を手掛けている。
 同社には現在、約100人のドライバーがいるが、今年からドライバーを対象に役職制を導入したという。

半年ごとに評価・役付け

 今回、同社が導入した役職は、CED(チーフエグゼクティブドライバー)、CD(チーフドライバー)、ACD(アシスタントチーフドライバー)の3種類で、事務職でいえば、CEDが課長クラスで、CDが主任クラス、そして、ACDが主査クラスになるのだという。
 同制度は半年ごとに評価をして役付けを行うというが、その方法は、社内評価とドライバー自身の自己評価の合計で決まる。山元社長によると、会社側の評価が75点満点で、自己評価が25点満点とし、合計で100点満点の評価を行う。会社側が下す評価は、客観的に誰もが納得できるように、「顧客からクレームがない」や、「時間を守る」「事故を起こさない」など、基本的な項目だという。
 自己評価は、あくまでドライバー自身の自己評価で、ドライバーが自分の仕事ぶりを自分で判断し、点数をつける。
 CEDは100点満点が条件となり、就任すると同時に、給料とは別に月3万円の役職手当が支給される。CDは90点以上が条件で、同2万円の手当が支給され、ACDは80点以上で、同1万円が支給される。
 ただ、同制度を導入するに当たり、参加は強制ではなく、あくまで任意としている。その理由について同社長は、「本来は、全員参加が望ましいが、みんなが役職を欲しいと考えているわけではなく、平のドライバーでいいという者もおり、そうしたドライバーを強制的に参加させるのもどうかと考えた」という。
 1回目として行われた今回、約8割のドライバーが参加した。その結果、残念ながらCEDは出なかった。一方、CDは3人、ACDは12人が選ばれ、6月1日から、それぞれの役職に就いているという。

意識改革のために導入

 これまで同社では、ドライバーの賃金体系で、試行錯誤を繰り返してきたという。「歩合にすると、何であの仕事をさせるのかといったクレームが入り、固定にすると、自分の仕事以外、まったく無関心になってしまう」と、過去に起きた問題点を指摘した同社長は、「役職制の導入は、いつかやりたいと思っていたこと」だとし、「社内の体制をはじめ、ようやくその機会が整い、実行に移せた」と話している。
 役職制の導入には、頑張ったドライバーへの賃金アップもあるが、それ以上に同社長が考えているのは、ドライバーのポジションの向上だ。
 「ドライバーは、事務方の指示で動いていることもあり、どうしても、自分たちは事務職よりも下だと考える。しかし、やっていることが違うだけで、会社として考えると、どちらが上か下かではなく、あくまで、どちらも重要な役割を担っている」とし、「そうしたドライバーの意識を変えることも必要だった」と、同社長は、制度導入の理由を話している。
 同社長によると、今回、会社評価は満点だったが、自己評価で満点にならずにCEDを逃した人も数人いたという。
 同社長は、「謙虚さには頭が下がる思いだが、次回は自分でもしっかりアピールして、ぜひ、CEDに就任してもらいたい」と話している。