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個人償却制で摘発
2017年2月27日号

個人償却制で摘発

「名義貸し」に当たる

 大阪府警交通捜査課は14日、貨物自動車運送事業法違反(無許可経営)の容疑などで、大阪府泉佐野市の永晃産業社長とドライバーを逮捕、送検したと発表した。業界で横行している「個人償却制」が名義貸しに当たるとして両容疑者は逮捕されたが、このような摘発は全国でも珍しく、業界内でも話題になっている。

運送会社社長とドライバー逮捕

 大ト協海コン部会や阪神港海コン協会でも今月の会議で、「海コン輸送業界でも同行為が横行している」とし、こういった行為をなくすため、情報収集のための窓口の設置も図られている。
 また、フェリーでのドレージ輸送業を営む大阪市の運送A社は「今回の事件で動揺している運送事業者も多い。実際、個人償却制としているが、社会保険や雇用保険などに一切加入せず、運送事業者の名義を借りて、コンプライアンスを無視し、さらには運賃ダンピング行為を繰り返し、その結果、運賃低下を引き起こしている部分も多い」とし、「適正に運送事業を営んでいては勝ち目がない。今回の摘発は、われわれ運送会社にとって必要なことと考えている」と理解を示す。
 一方、個人償却制を行う大阪府の運送B社では「基本的には個人償却制という項目だが、逮捕された運送事業者と同様、車両費などを売り上げから支払っている。社保などについてはドライバーも所得を増やしたいとのことで、支払っていない面も多い」とし、「今回の摘発で当社も今後を考え、個人償却制の廃止を考えざるを得ない。警察が本格的に動きだし、運輸行政の厳しい取り締まりなど、社会的規制が強化されていることは理解している。当社では数人が個人償却制で取り組んでいる。廃止を拒否するドライバーには、辞めてもらうなどの対応も考える必要があるかもしれない」と話す。
 また、過去に個人償却制を行っていたという運送C社は、「社会的規制の強化からドライバーに対して社保などの加入を求めたところ、『厚生年金の受給資格期間に足りず、加入しても年金が収受できない』と拒否された。事業適正化のために説得したところ、2人のドライバーが『個人償却制を辞めるのであれば退職する』と、辞めていった」という経験を語る。
 しかし、そのドライバー2人はC社を退職後、他の運送事業者に入社し、現在も個人償却制で勤めているという。C社長は「個人償却制を廃止しても、他社で行われていれば意味がない。今回の警察の摘発は、極めて業界に大きく影響すると考えられている。今まで個人償却制を行ってきたところも、少なからず動揺しているはず」と予想している。
 今回の摘発は業界に大きく影響を与えているようで、今後も個人償却制に対して見直しを図る運送事業者も増えてくると予想される。