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危険ドライバー野放し
2016年11月14日号

危険ドライバー野放し

違反16点でも乗り続け・・・

 本来であれば、免許取り消しになっているはずのドライバーが、何食わぬ顔で運転を続けている――。そんなことが可能なことをご存知だろうか。多くの違反を犯し、免許取り消しに至るほどまで違反点数が加算されていながら、運転を続けることができてしまう。現在の運転免許制度の盲点に迫った。

運転免許制度の「盲点」

 首都圏に拠点を構え、飲料品をメーンに取り扱う運送事業者。同社では、無事故・無違反の優良ドライバーを表彰するために、年に一度、全ドライバーの運転記録証明書を確認している。
 今年度の表彰者を選考するために記録を確認していた同社長は、あるドライバーの証明書の内容に目を疑った。累積点数の項目に「16点」と記されていたのだ。免許取り消し処分の要件となる15点を超える点数だ。
 速度超過(25㌔以上30㌔未満)で3点をとられていたものの、その他は1点から2点という比較的軽微な違反だった。しかし、その回数が尋常ではない。去年、証明書を確認した時点の累積は6点で、1年間で10点も加算されていたのだ。
 「何かの間違いではないか」と驚いた同社長は、発行元である自動車安全運転センターへ問い合わせた。担当者は、「証明書の内容に間違いはない。免許証の住所に案内が届いているはずだが、何かの事情で受けとっていないのではないか」と聞かされた。
 すぐにドライバー本人を呼び出して話を聞いたが、本人は「何も届いていない」と話す。しかし、住所に間違えはなく、これだけ違反をしていながら、全く届いていないというのは考えにくい。そもそも、何度も違反切符を切られているのだから、知らないでは済まされない。とりあえず、社労士と相談し、懲戒解雇処分にすることで決着した。
 問題は、このドライバーのように本来は免許取り消しになっている可能性の高い人物が、問題なく運転できてしまうことだ。警視庁運転免許係によると、「所轄の警察署に出頭するように案内は出しているものの、無視して乗り続けているケースはある。警察としても、再三にわたって連絡をとるようにしているが、完全には対応できていない」という。

定期的に違反 記録の確認を


 また、違反切符を切る際にも、よほどのことがない限り、現在の累積点数までは確認しないのが実情だ。警察からの出頭命令を無視し続ければ、累積点数が免許停止や免許取り消しに達していようとも、免許証の更新時期までは運転することができてしまう。
 今回のケースでは、ドライバーの免許証の有効期限は平成30年だった。大きな違反を犯さなければ、あと2年間も乗り続けることができてしまうのだ。何度も違反を繰り返す安全意識の欠如したドライバーが堂々と運転し続けていると考えると恐ろしい。
 同社の場合、定期的に運転記録を確認していたため発見することができたが、免許証を確認するだけでは運転の実態までは見えてこない。万一、死亡事故などの重大事故が起きれば会社の監督責任を問われ、大きなイメージダウンにつながりかねない。免許証の有効期限はもちろん、違反記録についても定期的に確認するのが賢明といえるだろう。