企業・経営者部門 ノミネート記事

信和運輸
2015年7月20日号

信和運輸

認めてもらえる経営者に

長窪 久雄 専務

 今年、営業開始から30年を迎える信和運輸(長窪信也社長、埼玉県川越市)。社長とともに同社を牽引するのは長窪久雄専務(43歳)だ。
 根っからの野球少年だった同専務がハンドルを握り始めたのは、浪人生時代。中高と野球部活動に明け暮れ、「どうしても大学で野球をやりたくて浪人した」が、忙しさを増す会社を手伝うようにもなった。
 「トラックに乗ってみるとおもしろくて、予備校よりも働いている時間が長くなっていた」と振り返る。4トン車に乗り出すと、「これはカッコイイと思い、すぐに大型で全国各地を飛び回る生活になった」といい、「運転も、手積み、手下ろしの荷役も楽しい」「体を動かすのが今でも好き」と笑う。
 ドライバーとして仕事の魅力を感じていた一方で、父である信也社長とは衝突が絶えなかった。「現場の意見をぶつけても経営者の立場で退けられる。頭ごなしに否定されるとこちらも熱くなり、譲らなかった」といい、「息子だから、他の社員が言わないようなことも平気で言っていた」と苦笑交じりに続ける。
 互いに譲らず会社を飛び出したこともあったという若き日の同専務だが、20代後半から30代には、「自分でやりたい、試したい」という思いが強くなり、建設関係の仕事を興した。3トン車を買い、「足場を運んでいって現場で組む」業務で、「自分で段取りをして人を使って。効率よく回せれば、その分、利益が出せる」と、経営の醍醐味に目覚めていった。
 その後、30代半ばで同社に戻った。「この仕事を続けていてもよかったのだけれど」と笑うが、今では「ずっとついていきます」と言ってくれる社員もいる。「そんな社員らに報いるために〝良い会社〟を作りたい」と力を込める。
 「会社が好き、社長が好き、仕事が好き」。それが、同専務が考える「良い会社」。そうあるために、「〝あの人の言うことだったらやる〟と思われる経営者になりたい」と話す。創業者である父親の横顔を、幼い頃からトラックの助手席で眺めて育ち、「父が作った会社を大きくし、認めてもらえたら」と考える。一方で、「実は、まだまだ自分で試してみたい計画はある」と、理想を追うためには今ある形にとらわれない。「息子が継ぎたいと思う立派な会社にできたら、俺もかっこいい父親だと思える」と笑う。