物流ウィークリーヘッドライン
私は講演や執筆の機会があるごとに、「社長と経営者は異なる」ことを強調している。それは私の経験上、確信をもって言える。
たとえば、資本さえあれば(いまはなくても)誰でも社長になれる。運がよかったり、バブルの波に乗ったり、私のように輸出や高度成長に恵まれれば、社長を続けることは、それほど不可能ではない。だが、それだけのことにすぎない。ある日、突然風向きが変われば、ただの社長にはたちまち倒産が訪れる。それはなぜか。「志」がないからである。
一方、真の経営者に倒産はない。自社の提供するグッズ(GOODS=商品)やサービスをもって消費者に資する。世の中の役に立つ、そういう明確な「志」があるからである。社長は利益のみを求めてやまないが、経営者は利益を、消費者や社会の評価と受け止め、自社がどれだけ世のため人のために役立っているかのバロメーターと考える。その差は実に大きい。
あまりよいたとえではないが、利益だけ求めるなら、麻薬や拳銃などを売ったほうがはるかに儲かるだろう。が、それは言うまでもなく違法であり、バッズ(BADS=反社会的商品)である。それに対して、たとえば冷蔵庫には、いかに利益が薄くても食料の保存、品質保持、食中毒の防止といった社会的有用性がある。ゆえにGOODSなのである。
極論すれば、社長と経営者の間には、それほどの落差があると言っていい。そのことは、この「失われた15年」の間に頻発した企業不祥事と、未曾有の倒産件数が証明して余りある。ただの社長が潰れ、真の経営者だけが生き残ったと言っても過言ではない。
三十半ばの岐路で、私が踏み出した一歩は、残念ながら「社長止まり」への道であった。若造が大金を持つとろくなことにならない。
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