第146回:バブルに溺れた経営(3)

結局、Fさんは平成8年に倒産を余儀なくされるが、最後の2、3年は経営というよりも、資金繰りに振りまわされただけと言っていい。

その間、もがけばもがくほど赤字はかさみ、借金は増えていく。

そしてついに金策の泥沼に足を取られてしまった。

 その第一歩は融通手形である。

仲間や同業、取引先と互いに手形を切り合っては、その場をしのいでいく。
が、それは実体の伴わないカネのまわし方にすぎない。

いつ、どこで、誰が破綻してもおかしくない。

何よりも、安易な手法だけに心が麻痺していく。

Fさんも最後には、どれだけ切ったか割ったかわけがわからなくなっていた。

 第2の泥沼は街金融である。

銀行に見放されたFさんにとって、毎日のようにまわってくる手形を落とすためには、街金融に頼るしか術がなかった。

が、そこは地獄の一丁目である。

Fさんが借りたのはたったの100万円。

が、その金利はなんと1週間に30万円(年利1500%)。

これでは、その30万円を払うために次の街金融に走らなければならない。

こうしてFさんは街金地獄にはまっていく。

 しかし、こうした手法が長続きするはずもない。

ついにその日がやってきた。

1日だけ待ってくれるように街金へ頼みに行ったFさんは、その場で監禁されてしまった。

財布をさぐられ、鞄の中まで調べられ、本当にカネがないと知るや、あとは延々と脅迫である。

 入れ替わり立ち替わり怒鳴り散らし、机を叩き、椅子を蹴とばす。

はては奥さんに電話を入れ、「何か貴金属はありませんかねえ。指輪でも何でもいいんですよ」と、口調こそ丁寧だが、何か金目のモノを持ってこない限り、亭主は帰さないという脅しである。

この日、Fさんが解放されたのは深夜の1時、15時間の監禁である。

そしてFさんの心が決まった。  

(つづく)

2007年11月14日

2007年11月14日

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