第144回:バブルに溺れた経営

 Fさんは昭和52年、29歳の若さでインテリア関係の事業を立ち上げた。

それまでは室内装飾の会社に勤め営業を担当していたが、得意先の知人に声をかけられて共同経営という形で独立した。

が、3年後、その知人が病気でリタイアし、Fさんは名実ともに経営者となった。

 仕事の内容は住宅や会社、ビルなどのインテリア(内装)工事で、受注金額が大きいだけに、受注さえ途切れなければ十分にやっていけるビジネスだった。

最初の数年間は鳴かず飛ばずだったが、昭和57年頃から受注が急増し、つれて業績も急角度で上昇していった。

そこへ押し寄せたのがバブルである。Fさんは上げ潮に乗って稼ぎまくり、儲けまくっていく。


 バブルは異常だった。景気のいい会社や株成金、土地成金が競って豪華で高級なインテリアを指向するようになり、それがFさんの工事量のみならず、付加価値の高い仕事に結びついていった。

こうしてFさんは目のまわるような忙しさと、濡れ手で粟のような利益を上げていく。


 そうしたなかで、唯一のネックは人手不足だった。

Fさんは必死に下請けや職人を確保し、社員を増やして億単位のカネを扱うようになったことから、メーン・バンクに頼んで経理マンを紹介してもらいと、一気に人員を増やした。

 その結果、事務所が手狭になり、Fさんは思い切って自宅兼用の自社ビル(四階建て)を建てた。

さらに、社員の福利厚生を兼ねて、軽井沢にログ・ハウスも建てた。

それが難なくできるほど、Fさんの経営は順風満帆だったのである。

このバブルの最盛期、Fさんの業容は年商5億円、社員20人にまで膨らんでいった。

しかし、そこがピークだった。  (つづく)

2007年10月30日

2007年10月30日

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