第135回:再起の群像 やり手経営者の弱点

 倒産に至る道は無数にある。その1つの道だけでも倒産の危険性を十分はらんでいるのに、Kさんの場合は明らかに複数の原因による倒産、いわば複合倒産である。これは経営者としての資質に恵まれた人に、しばしば訪れる悲劇である。

 では、Kさんがたどった倒産に至る道とは何か。

 第1に、積極経営のゆきずりを挙げなければならない。言うまでもなく、経営は「攻め」と「守り」の両輪ががっちり組み合わさって、はじめて「継営」となる。彼は業容の拡大を急ぐあまり、つい「守り」をおろそかにしてしまったのである。

 第2は、抜群の営業センスがかえってアダとなり、いつの間にか売上至上主義に陥っていたことである。「売り上げが伸びているから利益も上がっているはず」と、経理、計数管理を他人任せにするのは危険である。計数は経営状態を如実に反映するリトマス試験紙であり、それは常に経営者のアタマのなかに詰まっていなければならない。

 第3は、環境変化に対する適応能力の欠如である。経済環境は常に変化してやまない。経営はその変化に対する「対応業」であるといっても過言ではない。Kさんにとってはオイル・ショックもアフガン侵攻も降って湧いたような災難であったかもしれないが、もしKさんに情勢を的確に分析・判断する能力や、宝石に対する真の知識があったならば、リストラなり生産縮小なりを断行し、「継営」につなげることもできたはずである。

 少々厳しい見方かもしれないが、複合倒産するほど経営センスに恵まれているだけに、あえての苦言である。いわゆる「やり手」経営者は、攻めには強いが守りには弱い。Kさんもそうした経営者の1人であったかもしれない。

2007年6月21日

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