第134回:再起の群像 激動の国際情勢で倒産

 昭和48年、日本経済をオイル・ショックが襲った。未曾有の不況のなかで、企業は苦しい経営を強いられた。Kさんも例外ではなかった。

 本当はこのとき、拡大路線を安定路線に切り換えるべきであったが、創業以来「攻め」に徹してきたKさんには、それができなかった。もっとも、そのバイタリティーがオイル・ショックを乗り切らせた原動力でもあったが、不良債権の増加は避けられず、経営体力は確実に弱まっていった。そこへ青天の霹靂が走った。

 昭和54年12月、ソ連が突如としてアフガニスタンへ軍事侵攻、世界に衝撃が走った。この国際緊張が引き金となり、空枠の原料となる地金の金、銀、プラチナなどの国際相場が大暴騰、翌年には一転して大暴落するというハプニングが勃発した。

 ちなみに、金はソ連のアフガン侵攻直後、1グラム8500円まで暴騰。が、翌年には4000円にまで暴落している。この急騰・急落によって、貴金属業界は原料高の製品安に見舞われ、倒産が相次いだ。

 なかには宝石を持って海外にトンズラする問屋まで現れ、その余波で取引先の十数社が倒産するという不祥事も発生、業界の信用は地に落ちた。金融機関は当然ながら手形の割引に制限を加えるようになり、さらに倒産に拍車がかかった。こうした悪環境のなかで、Kさんは死にもの狂いで経営の立て直しをはかるが、内実はすでに自転車操業、資金繰りに奔走する日々がつづく。

 そこへ取引先の4社がバタバタ潰れ、彼も1300万円の不渡りを食らい、それまではなんとか手形のジャンプでしのいできたが、ついに万策尽きる。

 ソ連のアフガン侵攻から1年後の55年11月、あえなく倒産した。負債総額は11億円、債権者は124社にのぼった。

2007年6月14日

POT Voice 販売パートナー募集

用途に合わせて選べるハンディ
物流ウィークリー その他関連記事
住友電工システムソリューション株式会社

物流・ロジスティクス業界転職情報

ドライバー募集ナビ求人情報