物流ウィークリーヘッドライン
以下はUさんの後日談である。
平成16年4月、NHK教育テレビの「ETV特集」で、1時間半にわたって「生きてこそ人生幸あり」という番組が放送された。
内容は「経営破綻、絶望、自殺未遂…生と死の淵をさまよった男たちの物語」というもので、八起会の会員3人の人生航路をたどるドキュメンタリー番組であった。
NHKからこの企画が持ち込まれたとき、正直なところ私は迷った。いかに我が会員とはいえ、嫌なことを思い出させるのではあるまいか、と恐れたからである。
しかし、3人とも「私たちの経験が、いま苦境にある人たちの励ましになるなら」と、快く引き受けてくれた。その3人のうち1人がUさんである。
以下はUさんが出演後、わが会報に寄せてくれた一文である。
「今回の取材で、私はなつかしい場所と辛い場所の2つに立った。前者はふるさと長崎の母の墓前である。母は平成13年、100歳で亡くなった。墓は千々石湾の海原を見下ろす小高い山の中腹にある。野も山も海も、小川のせせらぎさえも昔のままである。
名状しがたいなつかしさが込み上げてくる。20分ほど坂道を登り、母の墓前に額(ぬか)づく。瞼を閉じると、在りし日の母の姿が走馬燈のようにめぐっては過ぎていく。カメラがまわっているのに、私は涙を止めることができなかった。来て良かった…心からそう思った。
もう1つの場所は、かつて倒産した会社の跡と、自殺未遂に終わった私鉄の踏切である。辛い、苦い、思い出したくもない場所である。
しかし、私は容赦なくカメラがまわるなかで、その場に立った。
私の『生きていてよかった』という体験が、すこしでも苦境にあえぐ方々に勇気を与えられるならば…その思いで立った。それがどれほどの役に立ったかはわからないが…」
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