物流ウィークリーヘッドライン
Uさんは、1度死んだと言っていい。
母の姿が、声が夢に出てこなければ、本当に死んでいたはずである。
しかしその後、Uさんは「怪物」となって甦った。
駅の掲示板でシーリング作業員募集の広告を見つけ、年齢オーバー、技術なし、経験なしのハンデを「技術は必ずマスターしますから」と熱意で押しきり、見習いとして採用された。
が、やがてUさんは、仲間から「怪物」と呼ばれるようになる。
朝4時に起きて自分で弁当をつくり、6時には出社して仕事を始め、夜は9時、10時まで働いてもケロリとしていたからである。
Uさんの体力と頑張りは筋金入りと言っていい。母の苦しい家計を助けるためとはいえ、中学を出るやすぐさま炭坑に潜り、イワシ漁船に乗り込み、危険だが収入の多い仕事に従事した。さらに自分でもコツコツと金を蓄えていった。向学心やみがたく、いつの日かきっと大学に入る…その思いからであった。
やがてUさんは働きながら夜間高校に通いはじめ、そして念願の大学へ入り、ついに夢を実現した。が、そのときUさんは30歳になっていた。卒業後、大手鉄鋼会社に就職し、持ち前の頑張りと真面目さで、またたく間に30人の部下を持つ課長にまで昇進したが、思うところあって脱サラし、段ボール製造会社を立ち上げたのである。
そんなUさんがシーリング技術をマスターするのに、それほど時はかからなかった。
3年後には社内きっての腕利きとなり、顧客指名にもあずかるようになっていく。
給料もウナギのぼりに上がり、5年後Uさんは再び新居を構えた。
その新居にピアノがあったことは言うまでもない。
やがてUさんは部下の若い技術者たちに促されて独立、シーリング加工の新会社を設立した。2度目の経営である。
そしていま、Uさんの経営は順風満帆である。
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