第123回:再起の群像 「理不尽な連鎖倒産」

Uさんが段ボール製造会社を潰したのは、連鎖倒産に巻き込まれたからである。最大の納入先だった会社が倒産し、割り引かずにあった、その会社の手形(2000万円)が紙クズになってしまったのである。それまでのUさんなら、2000万円ぐらいなら、なんとでもなる金額だったが、運悪く新工場、新設備を導入したばかりのときで、手元資金は底を突き、融資枠も目いっぱいでどうにもならず、創業13年目にして倒産を余儀なくされた。

職人気質のUさんは採算よりも品質にこだわり、それが納入先の信用を高めた。また、いっさい手形を切らない現金取引も、仕入れ先の信用を高めた。Uさんは、この2つの信用をもって順調に業績を伸ばし、創業10年の頃には中堅どころまで会社を押し上げた。が、その頃から大手の進出が相次ぎ、過当競争が激しくなっていく。

 危機感をつのらせたUさんは、生き残りとさらなる飛躍を期して設備投資に踏み切った。150坪の工場を新設し、ドイツから最新の機械を導入した。そこへ降って湧いたのが納入先の倒産である。その納入先はUさんの最大の取引先で、売上高の4割を占めていた。これではひとたまりもない。リスクを分散しなかった過誤には違いないが、Uさんは律儀、誠実な性格で、仕入れ先や納入先を固定して、むやみに変えるようなことをしなかった。受け取った手形も割り引かずに抱え込んでいたほどである。

 そうした律儀、誠実が裏目に出た結果の倒産であり、まことに気の毒としか言いようがない。Uさんは泣く泣く倒産のホゾを固め、債権者に謝罪するとともに土地、家屋、工場、設備など、すべての資産をリストにして債権者の前に提示した。本来なら、この時点で事は決着するはずであった。が、悲劇はその直後に起きた。

2007年4月 1日

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