第122回:再起率3割の奇跡「倒産を恐れよ」

 八起会は倒産者の会であると同時に、共に研鑽を重ねて経営者を目指す再起の会でもある。私たちの活動は28年に及ぶが、その間に多くの会員が再起を果たし、経営の第1線に復帰した。しかし、その比率はわずか3割。この3割が高いか低いかは意見の分かれるところかもしれないが、私は「奇跡に近い数値」と自負している。一般には1割そこそこが実情であろう。

 この数値の低さは、日本の中小企業がおかれた過酷な現実を語って余りある。どの金融機関も、融資に当たっては経営者の個人保証を求める。したがって、倒産ともなればすべての財産を失い、丸裸、一文なしで巷に放り出される。そのうえ、法的には責任を免除されても、債権者の白眼視やいやがらせまでは避け得ない。実際、子供の学校や職場にまで押しかけられた例もある。

 となれば、倒産者はもはやその地にとどまれない。といって新天地を目指しても、嘘でも書かない限り、履歴書から「倒産」の文字が消えることはない。日本の社会はまだまだ失敗者に寛容とは言えない。まして倒産ともなれば無能者、落伍者のレッテルを張られかねない。島帰りはいつまでも島帰りというのがわが国の伝統であり、アメリカのように敗者復活が容易な社会ではないのである。

 そうした現実を踏まえたうえで、私は講演などでもよく「再起は並大抵ではありません。よほどの強運か奇跡を要します。倒産を恐れてください。いくら恐れても恐れすぎることはありません」と訴えている。

 次回から「再起の群像」と題して、見事に再起を果たしたわが会員の実例を紹介する。そこにはなぜ倒産に追い込まれたか、倒産の過酷な現実とその苦しみ、いかにして再起を可能にしたかなど、多くの教訓が含まれているはずである。

2005年1月 2日

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